労働形態について
ゲームクリエイターやIT系プログラマーなどの方には独立について考えたことのある人も多いかと思います。
今回はそんな独立に関するメリットやデメリットについて記載していきます。
では早速それぞれの形態についてみてみましょう。
サラリーマン | 名前の通り会社に所属して給与(サラリー)をもらっている人の事です。 基本的に会社に勤めているので安定した給与と保証が確立されています。 ※例外もありますが…会社が仕事を用意してくれるので求められた役割を果たします。 |
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フリーランス | 会社に勤めず個人で営業から実務まで行う人の事です。 ある程度の知識と技術が必要ですが、稼いだ利益が全て自分の所得になります。 ただし利益が出なければ所得は0となります。社会保険などに入ることが出来ないので、いざという時の対策は全て自分で行う必要があります。 |
法人化 | 自身で会社を設立する事です。 フリーランスよりも経営に関する知識が必要になってきます。設立する際にもある程度のお金が必要になります。 又、利益が出ていない場合でも法人税などの出費があります。他にも国に提出しなければいけない書類が多いので税理士などへの委託している人が多いです。 |
簡単にはこんな感じかと思います。
ではそれぞれの形態についてもう少し細かく考えてみましょう。
サラリーマン
サラリーマンは先ほども書いた通り会社に所属して給与をもらっている人の事です。
会社毎に様々な違いがありますが、よくある会社のメリットとデメリットについて考えてみましょう。
メリット | ・所属している間はある程度の収入が保証される ・会社の利益が上がっている場合には多額の賞与(ボーナス)が出る事もある ・労働保険(雇用保険や労災保険)がある ・社会保険料の半分を会社が負担してくる ・仕事が用意されている |
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デメリット | ・会社の経営状況が悪いと給与が上がらない ・会社規模によって給与の上限がある程度決まる ・環境を変えにくい(ワークフローや人間関係など) ・自分の業務以外の雑務が多い ・将来的に管理職になることを求められる(実務は評価されにくい) |
一番よく聞くデメリットは給与が安い、業務がきついなどの内容だと思います。
又、副業が禁止されている会社も多いので、その辺りで悩んでいる方も一定数います。
ただメリットのところにも書いているようにある程度の収入や仕事が保証されているので社員でいたいという人も多いです。
いくつかの社会保険があり、会社が半分を負担してくれる部分も大きな点です。
社会保険の金額を把握していない人は会社を辞めたときに驚くと思います。
これから数十年で日本の景気は落ちていくと言われていますが、安定を求めてサラリーマンになる人はまだ多いのが現状です。
フリーランス
独立したいという人が先ず考えるのがフリーランス(自営業)ではないかと思います。
会社に所属せず個人で仕事を請け負ってお金を稼ぐ形態です。
ではこちらもメリットとデメリットを考えてみましょう。
メリット | ・業種によっては資産が0円からでも始められる ・利益が直接自分の所得になる ・働き方を自分で決められる(週3労働や複数案件の掛け持ちなど) ・在宅などの仕事も多数存在する ・お金の流れを理解できる ・様々なものを経費にできる |
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デメリット | ・仕事を自分で探す必要がある ・信用や実績がないと単価を上げにくい ・仕事の責任が大きくなる ・原則的に労働保険に入れない ・健康保険などを全額負担する必要がある ・給与所得控除がない ・確定申告などを行う必要がある |
フリーランスになる理由で大きなものが自由に働きたい、お金を稼ぎたいという部分だと思います。
たまに人と関わりたくないという理由でフリーランスになろうとしている人もいますが、お仕事を探す手段が無い状態では逆効果です。
ただし、ネット上でお仕事を探せるサイトも多いので、能力がある人であれば問題ないと思います。
※対価(単価の数割など)を支払うことでエージェントに代行してもらうことも可能です。
注意点としては相場を理解していなければ安い単価で契約してしまう人も多い事です。
デメリットとして大きな部分は社会保険料が全て自己負担なことと給与所得控除がない事です。
給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額)……給与所得控除額 |
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180万円以下……収入金額×40%(65万円に満たない場合には65万円) |
180万円超〜360万円以下……収入金額×30%+18万円 |
360万円超〜660万円以下……収入金額×20%+54万円 |
660万円超〜1000万円以下……収入金額×10%+120万円 |
1000万円超……220万円(上限) |
会社員で年収500万円の場合
500万の20% + 54万円が所得控除額になります。
つまり154万円分が控除されるということです。
手取りの想定年収は下記のようになります。
年:378.1万円
月:31.5万円
ボーナスが無い場合は手取りが毎月31.5万円
たまに個人事業主は経費が使えていいと言っているサラリーマンもいます。
ですが実際には500万の売上で150万も経費を使うことは少ないのでどちらが得かは単純に比較できません。
さらにフリーランスの場合は社会保険の金額も全て自分で払う必要があります。
フリーランスで年収500万円の場合
・例(月額)
健康保険:5万円
国民年金:1.6万円
合計:6.6万円
年収500万だとこれぐらいの費用が掛かります。
単純計算で月41.6万円の利益だとすると
手元に残るのは月35万円
そしてここから仕事に係る所得税、住民税が引かれることになります。
合わせて年間約50万円なので月4万程になると仮定すると
月:約31万円
今回のケースだと実際に手元に残る金額はフリーランスの方が少し安くなりそうです。
又、雇用保険にも入れないので何か働けない状態になった時は単純に収入が無くなってしまします。
厚生年金にも入れないので将来的にもっと差が出てくると予想されます。
フリーランスになるなら収入が倍は稼げと言われるのはこういったことが原因です。
法人化
フリーランスとしてある程度の利益が残せるようになった場合や複数人で独立する場合に選ぶのが法人化だと思います。
会社に所属するというよりは会社を運営するという形です。
早速、メリットとデメリットを考えていきます。
メリット | ・役員報酬として支払うので給与所得控除を受けられる ・社員が少ないうちはフリーランスと似た働き方ができる ・お金の流れを理解できる ・様々なものを経費にできる ・社宅などを経費として使える(一部は支払う必要がある) ・会社の利益にすることで所得税より安くできる場合がある ・仕事を取る際の信用度が上がる |
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デメリット | ・設立するのに必要な手続きが多い ・設立するために最低でも20万円が必要となる ・役員報酬が年度毎にしか変更できない ・仕事を自分で探す必要がある ・仕事の責任が大きくなる ・決算などを行う必要がある ・赤字でも最低7万円程度の法人税がかかる |
法人化する理由は様々です。
例えば下記のような理由が考えられます。
- ある程度の安定した利益が望める場合
- 複数人で独立する場合
- 法人のみを相手とする企業の仕事を受ける
大きくはこの辺りでしょうか。
ある程度の報酬とは利益が500万円程度からが目安となります。
利益が700万円を超えると法人の方が大体数十万円ほど税金が安くなります。
複数人で独立する場合は法人にした方がやりやすい場合があります。
それぞれがフリーランスでも問題ありませんが、お互いに資本金を出せば責任感が強くなります。
又、社員を増やすのであれば法人の方が信用されます。
会社によっては法人のみを相手とする会社があります。
そういった場合には法人化しなければお仕事を受けることができません。
これを機に法人化する人も一定数はいるようです。
デメリットで大きい点はいくつかあります。
設立の手続きや費用
設立には会社の登記を行う必要があります。
登記には専門の知識や司法書士による手続きが必要となるので自分で手配すると手間がかかります。
又、登記の申請費用に約20万円がかかります。
これらは税理士などに頼むと更に増えてきます。
役員報酬
役員報酬は年度毎にしか変更できません。
役員報酬を安く設定して途中で大きな利益が出た場合。
途中では変えられないので差分は会社の利益となります。
こういった場合にもう少し役員の報酬を上げていれば節税できていた可能性があります。
決算
確定申告と似ていますが、会社ではもう少し厳密な対応を行う必要があります。
税理士に頼むことが一番楽ですが、売り上げに応じて費用が変わってきます。
又、日頃の会計処理を税理士に任せるかによっても費用が変わってきます。
こういったデメリットもありますが、所得控除と経費の両方を使うことのできる部分が大きいです。
又、会社の法人税は約30%強で固定なので一定以上の利益が出ている場合は個人の所得税などより安く済みます。
※そこまで利益をだすことが難しいですが…。
他にも社宅などの節税対策が多い法人化はメリットが大きいです。
独立を考えている方や既にある程度の利益が継続して見込める方は法人化を視野にいれてみてはいかがでしょうか?
まとめ
色々と書きましたがそれぞれの形態でメリットとデメリットがあります。
- 安定と平穏のサラリーマン
- 自由と仕事のバランスが取れるフリーランス
- 利益と挑戦の法人化
必ずこれがいいということはないのですが、筆者は全て経験してきたので気になる方はご相談程度であればできると思います。
※筆者の場合は主にゲーム開発やIT系でのお話の割合が多くなりますが…。
皆さんも興味があれば一度は今後について考えてみるといいかもしれません!